心エコー評価アシスト

報告書にある項目だけ入力してください。空欄のままでも、入力された項目だけで判定します。必要 が付いた項目が判定の中心になります。

判定の準備状況

体表面積は DuBois 式で自動計算します。心房細動では拡張機能の判定精度が下がるため、判定結果に注意書きが出ます。

LVEF は 記載値LVDd・LVDs のどちらか一方で判定できます(記載値が無ければ LVDd・LVDs から自動計算します)。GLS は報告書で「−18.5%」のようにマイナス表示されますが、ここでは絶対値(18.5)を入力してください。

LAVI が空欄でも、左房容積と身長・体重があれば自動計算します(LAV ÷ 体表面積)。

弁膜症は 数値報告書の記載どちらか一方で判定できます。数値が無ければ、医師のコメント(軽度・中等度・重度)を選ぶだけで構いません。

大動脈弁狭窄症(AS)

大動脈弁閉鎖不全症(AR)

僧帽弁閉鎖不全症(MR)

重度 MR では LVEF が実際の収縮能より高めに出ます。成因を選ぶと、LVEF の読み替え方(一次性では 60% 未満で左室機能低下)を判定結果に表示します。

僧帽弁狭窄症(MS)

三尖弁閉鎖不全症(TR)・右心系

TR Vmax と TRPG はどちらか一方でかまいません(TRPG = 4 × Vmax² の関係で相互に換算します)。

入力内容はこの端末内にのみ自動保存されます。患者氏名は入力しないでください。

保存した判定

記録はこの端末のブラウザ内にのみ保存されます。氏名は入れず、症例IDで管理してください。

日本人の基準値(成人・目安)

項目男性女性
LVDd45 ± 4 mm43 ± 3 mm
LVDs29 ± 3 mm27 ± 3 mm
IVSth9 ± 1 mm8 ± 1 mm
PWth9 ± 1 mm8 ± 1 mm
LVEF64 ± 5 %66 ± 5 %
FS37 ± 4 %37 ± 4 %
左房径32 ± 4 mm30 ± 4 mm
LVMI79 ± 16 g/m²69 ± 14 g/m²

日本人健常成人の平均 ± SD(JAMP study: Daimon M, et al. Circ J 2008;72:1859-66 ほか)。欧米人より心臓が小さく、欧米基準をそのまま当てると「拡大」を見落とすことがあります。

このアプリが使う判定カットオフ

項目基準
LVEF50% 以上=保たれている / 41〜49%=軽度低下 / 40% 以下=低下
FS28% 以上
GLS絶対値 18% 以上(16% 未満で低下)
LVMI男性 115 g/m² 以下 / 女性 95 g/m² 以下
RWT0.42 以下
LAVI34 mL/m² 以下
e'中隔 7 cm/s 以上 / 側壁 10 cm/s 以上
E/e'平均 14 以下(中隔 15 以下 / 側壁 13 以下)
TR Vmax2.8 m/s 以下(TRPG 約 31 mmHg 以下)
TAPSE17 mm 以上
心係数 CI2.5〜4.0 L/min/m²

拡張機能は ASE/EACVI 2016 の推奨アルゴリズム、弁膜症重症度は日本循環器学会「弁膜症治療のガイドライン(2020 年改訂版)」および ACC/AHA 2020 の基準に準拠しています。

弁膜症の重症度

AS軽度中等度重度
Vmax2.0〜2.93.0〜3.94.0 以上
mean PG20 未満20〜3940 以上
AVA1.5 超1.0〜1.51.0 未満

単位は Vmax=m/s、mean PG=mmHg、AVA=cm²。

MR軽度中等度重度
VC3 mm 未満3〜6.9 mm7 mm 以上
EROA0.20 未満0.20〜0.390.40 以上
RVol30 未満30〜5960 以上

単位は EROA=cm²、RVol=mL/beat。

AR / MS軽度中等度重度
AR: VC3 mm 未満3〜6 mm6 mm 超
AR: PHT500 ms 超200〜500 ms200 ms 未満
MS: MVA1.5 cm² 超1.5〜2.0 cm²1.5 cm² 以下
MS: mean PG5 mmHg 未満5〜10 mmHg10 mmHg 超

MS は弁口面積が最も重視されます(1.0 cm² 以下は very severe)。mean PG は心拍数の影響を受けるため補助的に使います。

重度 MR のときの LVEF の読み方

重度 MR では LVEF は本当の収縮能より高めに出ます。左室は大動脈(高い圧)だけでなく、低い圧の左房へも血液を逃がせるため、少ない力で多くの血液を出せるからです。

状況LVEF の見かた
一次性 MR
(弁自体の異常)
60% 未満で既に左室機能低下。LVDs 40 mm 以上と並ぶ手術適応の指標
二次性 MR
(機能性)
60% の基準は当てはまらない。もとの左室機能と併せて解釈
術後逆流という逃げ道が無くなるため、LVEF は術後に下がることがある

つまり重度 MR では「LVEF 55% だから収縮は正常」とは言えません。GLS は LVEF より術後の予後をよく予測すると報告されています。

出典:Ross J. J Am Coll Cardiol 1985;5:811-26(afterload mismatch。慢性 MR では正常 LVEF が収縮能低下を覆い隠す)/Kim HM, et al. JACC Cardiovasc Imaging 2018;11:1235-44(重度一次性 MR 506 例。GLS が心事故の独立予測因子 HR 1.229, 95%CI 1.135-1.331)/Vancraeynest D, et al. Eur Heart J Cardiovasc Imaging 2024(MIDA 登録 2833 例。LVEF 60% 未満などの Class I 指標が出てからの手術は 10 年生存 71.4% と、指標が出る前の 88.9% より低い)/JCS 2020 弁膜症治療のガイドライン・ACC/AHA 2020。

用語のみかた(新人向け)

LVEF(左室駆出率)
左室に溜まった血液のうち、1 回の収縮で何 % 送り出せたか。ポンプの「勢い」を示す代表指標。ただし心筋の力そのものではなく、血圧(後負荷)や逆流の有無に左右されます。重度 MR で高めに出るのはこのためです。
LVDd / LVDs
左室の拡張末期径・収縮末期径。心臓が大きくなっている(=リモデリング)かを見る。
FS(左室内径短縮率)
M モードで測る収縮の指標。1 断面だけの評価なので、壁運動異常があると当てになりません。
GLS(全体長軸ストレイン)
心筋の縦方向の縮み。LVEF が保たれていても先に低下するため、早期の収縮障害を捉えられる。
E 波 / A 波
拡張期に左房から左室へ流れる血流。E は受動的な流入、A は心房収縮による流入。心房細動では A 波が消えます。
e'(イー・プライム)
組織ドプラで測る僧帽弁輪の動く速さ。左室の「広がりやすさ(弛緩能)」を反映し、低いほど硬い。
E/e'
左房圧(左室充満圧)の推定値。高いほど肺うっ血が起きやすい状態。運動時の息切れと関連します。
LAVI(左房容積係数)
左房の大きさを体格で補正した値。左房圧が高い状態が続くと大きくなるため「慢性的な負荷の履歴」を示す。
TRPG / TR Vmax
三尖弁逆流の速さから求める右室〜右房の圧差。右房圧を足すと肺動脈収縮期圧の推定値になります。
TAPSE
三尖弁輪が収縮期にどれだけ下に動くか。右室の収縮機能の簡便な指標。
AVA / MVA
大動脈弁・僧帽弁の開口面積。狭窄症の重症度を決める最重要指標。
Vena contracta(VC)
逆流ジェットの最も細い部分の幅。太いほど逆流が多い。

このアプリについて

判定は入力された数値に基づく参考情報です。最終的な評価・運動負荷の可否は、症状・血圧・心電図・主治医の指示と合わせて判断してください。入力データは端末内にのみ保存され、外部には送信されません。